【Public Partner対談】 廃材から団地の「地域らしさ」を紡ぐ ── 板橋区高島平まちづくり推進課×ReLink×ASIBA

記事

本記事は、一般社団法人ASIBAnoteに掲載された記事を、許可を得て転載したものです。

ASIBAは板橋区高島平まちづくり推進課、合同会社ReLink(ASIBA PROJECT LABEL)とのコラボレーションで取り組む「高島平アップサイクル・プロジェクト」を通じて、解体が予定されている高島第七小学校の部材とそこに宿る思い出を地域の中で循環させることを目指し、さまざまな取り組みを実施しています。
これまでおよそ半年間にわたって進めてきた協働の取り組みと、その中で見えてきたこれからの高島平のビジョンについて、高島平まちづくり推進課(高まち課)の皆さん、ReLink 本多栄亮さん、ASIBA 髙野広海がざっくばらんにお話しします。(文・鏡理吾)

目次

  1. これからのまちづくりはアップサイクルに挑戦する必要がある
  2. 分からなくても踏み出してみる
  3. 一人ひとりが自分ごと化できる街

これからのまちづくりはアップサイクルに挑戦する必要がある

ASIBA 髙野
板橋区の職員と初めてお話ししたのは1年以上前のこと。都市計画・まちづくりのDXを行う課の方に事業の紹介をさせていただき、その後何度かASIBAのコミュニティイベントにもお越しいただいていたのですが、半年くらい経った頃に突然、「リユースをやっているプロジェクトがありましたよね」とお声がけをいただいて。
そこから、ASIBAが高まち課とReLinkを結びつける形で「高島平アップサイクルプロジェクト」が始動しました。当初はどういった経緯だったんでしょうか。

高まち課 小宮山さん:
高島平まちづくり推進課は、高島平地域の連鎖的都市再生を進めるという使命を持って立ち上がりました。その言わばスタートとなる、高島第七小学校の解体。高まち課として何に取り組むべきか考えたとき、これからのまちづくりではアップサイクルという概念に挑戦していく必要があると感じたんです。ただその時は、一言にアップサイクルと言っても、知見がなくどう取り組むべきか悩んでいた。そこにReLinkの本多さんがいらして「記憶と素材・コミュニティづくり」という視点からの提案をしてくれた時、進むべき道が見えたような気がしました。
先日のお譲り会では、あれだけの方が集まって、その言葉が実際に風景として立ち上がるのを感じました。あの空間は、ASIBAさん・ReLinkさんとでなければ作り得なかったものだと思っています。

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第4回棟下式(12月13日開催)では校舎の材や備品を新たな使い手へと受け渡す「お譲り会」を実施しました。会場ではリユース品をきっかけにさまざまな思い出話が飛び交い、材やそこに宿る記憶を地域の中へと着実に受け継ぐことができました。(レポートはこちら


ReLink 本多さん

これまでReLinkの活動や大学での研究を通じて、建物が役目を終えるとき、その材料をどう終わらせないかということを考えてきました。ただ最後は気持ちの部分、つまり技術的にはできるけど、いざやろうとなるまでの動機が持てないというところに課題を感じていました。
そこで、公共施設という地域の生活と深く結びつき、色々な人が愛着を持っている場所であれば、そのハードルを越えられるかもしれない。そんな期待を持ちながらこのプロジェクトに関わり始めました。
実際にやってみると、何よりいつもあれだけの人が集まることが本当にすごいなと思っています。解体ワークショップも、お譲り会も、少し告知をするだけでこれだけの人が集まるのは、高島平ならではの素晴らしい環境だと感じています。

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分からなくても踏み出してみる

小宮山さん
高まち課は板橋区の中でも最先端のチャレンジをすることを目指しているチームですが、私たちだけでは知見の幅にも、人員の数にも限界があります。
いろいろなパートナーの方と一緒に、やりながら考え、やりながら作っていく。そうした、これまでの行政のあり方とは違った形で取り組みができていることは、個人的にすごく刺激的ですね。

高まち課 井上さん
分からなくても踏み出すことってすごく大事だなと日々痛感しています。ここまで1年間進めてきた棟下式も、当初何をやろうか悩んでいる時に、UDCTakを通じた外部の方々との関わりや、住民の皆様の要望の中からたまたま生まれたものでした。
高島平は日本の課題の縮図のような側面もあるので、地域の中でいろいろな方が思いを持って活動されているのはもちろん、地域の外からも、さまざまな方がそれぞれのチャレンジをしに来てくれるのはありがたいなと感じています。

本多さん
ReLinkはこれまで「物」を扱ってきましたが、今回は小学校の物を介して、世代や立場の異なる人が関わる新たな場を作ることができたと思います。
小学校はなくなってしまいますが、地域の方と僕のような外から来た人とが一緒に将来のことを考え、これまでになかった関係が生まれている。そうやって、終わることと始まることが切れてしまうのではなく、新しい関係性を生み出しながら次へつなぐ循環を高島平の中に生み出せるといいなと思っています。

小宮山さん
12月のお譲り会も、あれだけの人が来て物を持ち帰ってくれることは、正直想像していませんでした。ただの物として見たら「本当に必要なのかな」と思うようなものでも、無くなってしまう小学校で使われていたというストーリーがあるからこそ、あれだけ盛り上がったのだと思います。
コミュニティは作ろうと言って作れるものではありません。そしてアップサイクルに限らず、人はストーリーで動くものだと思います。だからこそ、そうした一つ一つの物語を大切にしていくことが、これからのまちづくりにおいては重要なのではないかと感じています。

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一人ひとりが自分ごと化できる街

髙野
これからどんな高島平の姿を作っていきたいですか。

高まち課 大島さん
今回棟下式をきっかけとして、ASIBAさんやReLinkさんのように先進的な取り組みをされている皆さんと共に活動を進めることができました。
そうした若手が中心となったプロジェクトやスタートアップが高島平からも生まれ、高まち課として彼ら・彼女らを支援しながら発展させていく。そうやって地域の中から次々と新しい取り組みが生まれてくるような未来は、できるだけ早く実現させたいと思っています。

井上さん
まちづくりの話題だとよく、「ウェルビーイングを高めよう」と言われますが、一人ひとりにとってのウェルビーイングは少しずつ違います。高島平で住む人、働く人、学ぶ人。この地域に愛着を持つ一人ひとりが「高島平、いいな」と思えるような景色をいろんな手段で用意できるといいのかなと思います。

高まち課 浅原さん
それは街を自分ごと化するための切り口を増やしていく、ということかもしれないですね。僕にとってはたかまちみどり、ReLinkにとってはアップサイクル。そうしたさまざまな切り口から街に関わる人が増えて、あらゆる場所で活動が生まれていくような街になったらいいですね。

たかまちみどり|板橋区公式ホームページ高島平の豊かなまちのみどりを認識し、より高めていく活動「たかまちみどり」の紹介ページです。www.city.itabashi.tokyo.jp

髙野
そうやって、今少しずつ生まれてきている取り組みを高まち課が繋ぎ合わせている、ということですかね。

井上さん
はっはー。

大島さん
何その反応(笑)。

井上さん
いや、そう言ってもらえてすごく嬉しいです(笑)。これからもそうありたいなと思いますね。

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小宮山さん
これから再開発が本格化していきますが、「ああ、こういう感じね」と言われてしまうような、ありきたりな街にはなってほしくないですね。何かすごい名所があるとか、特別に買いたいものがあるわけではなくても、何となく行ってみたい、ここで過ごしたいと思ってもらえるような街になればいい。
この半年間、ASIBAやReLinkの皆さんとアップサイクルというテーマで、これまでどこもやってこなかったような取り組みができていると感じています。これからも、そうした取り組みをいくつも仕掛けていけたらと思います。

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(手前から)板橋区高島平まちづくり推進課 井上さん・小宮山さん・浅原さん・大島さん
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