壊さない、ガラスの再構築へ。―捨てずに活かす、新たな建材の循環。ここでしか得られない経験を、未来の武器に。

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ガラスアップサイクルワークショップin諏訪 プログラム概要

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開催概要

役目を終えた建材は、本当に不要なものなのでしょうか?
解体される建物には、まだ十分に使える部材が数多く存在します。しかし、それらの多くは廃棄され、再び活用される機会を失っています。資源を大切にし、カタチある建材としてリユースを当たり前にすること。それは、過去の記憶を受け継ぎながら、新しい価値を生み出すことでもあります。

デザインが果たすべきこと
建築資材のリユースは、単に「使えるものを再利用する」ことではありません。現在の建材リユースは、大量生産・大量消費の流通モデルの効率性を優先した価値観のなかで、形状や状態を活かしながら適応させるプロセスが手間のかかるもの、不都合なものとして敬遠されがちです。
ですが、「使いにくい」からといって、それは重要でないのでしょうか?
いまの生産を支えるインフラが存在し続けるとは限らないかもしれない。大規模生産が維持できなくなれば、資材はこれまでとは異なる場所から集める必要が出てくるかもしれない。そうなったとき、私たちはどのように資源を循環させるべきなのか。問うべきなのは、「リユースが使いやすいものか」以前に「リユースはどうあるべきか」ではないでしょうか。建築資材の可能性は、今の決められた枠の中だけで判断されるものではなく、新たなつながりの中で活かされていくべきものです。リユースの未来は、単なる循環の改善ではなく、素材の価値を再定義し、次の使い方を創造することにこそあるはずです。
このワークショップでは、建築資材の新たな可能性を、まだ世界中で類を見ない「空間」という視点から探ります。ガラスを含む解体された素材たちが、どのように再び活かされるのか。効率だけでは測れない価値を見出し、新しい循環のあり方を共に考えませんか。捨てられるはずだった素材が、新たなプロジェクトの中で生かされる。その流れを生み出すことこそが、デザインにしかできない役割だと私たちは考えています。

建材を未来へつなぐ、新たな試みを。
このワークショップでは、ガラスの素材メーカーAGCと連携し、使われなくなった建材を活かす方法を考え、手を動かしながら新たなカタチへと再生していきます。ガラスも資源循環に対して大きな課題を抱えた一つの素材。どのように再び使えるのか、どんなデザインや空間の価値が見出せるのか、一緒に模索してみませんか?

建材のリユースを通じて、持続可能な未来を形づくる第一歩を、ここ諏訪から。ご興味のある方は、ぜひご参加ください。

【日時/場所/内容】

①プレレクチャー ②事前合宿 in諏訪 ③溶解炉ワークショップin諏訪の一連プログラムとしていますが、一部のみのご参加も募集中です!

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【①プレレクチャー 詳細】

<日時>
 2025年2月18日(火)←現在、募集中!

<場所>AGCテクニカルセンター協創空間AO
    
https://www.agc.com/innovation/ao/outline/index.html
<集合場所>
「JR 鶴見線 弁天橋駅」

AGC横浜テクニカルセンターへのアクセス.pdf

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<集合時間>12:30頃予定
<解散時間>17:00頃予定
<参加費>
・プログラム費:無料
・上記以外の費用(現地までの交通費等)は、参加者自己負担となります。

内容
・現地ツアー/レクチャー(AGC横浜テクニカルセンター協創空間AOにてガラスのプロに学ぶ)
【講師情報】河合 洋平さん、中川 浩司さん
      
https://www.agc.com/recruiting/careers/special/project01.html
・対話会(ガラスの未来について語る)

※「プレレクチャー」の詳細内容は、さらにアップデート予定です。

<注意点>

  • 起点となる「AGC横浜テクニカルセンター協創空間AO(〒230-0045 神奈川県横浜市鶴見区末広町1丁目1)」への往路、解散後の復路の交通手段(新幹線、レンタカー、自家用車等)は基本的にはご自身で手配いただきます。車で来られる場合の駐車場などについては、個別相談にて対応する準備中です。
  • 上記記載の予定は予告なく変更になることがございますので、ご了承ください。
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【②事前合宿 in 諏訪 詳細】

<日時>
 2025年3月10日(月)~3月12日(水)←現在、募集中!

<場所>諏訪湖周辺(SUWAガラスの里)
<集合場所>
「JR 中央本線 上諏訪駅」
<集合時間>11:20頃予定
<解散時間>18:00頃予定(解散後に懇親会を予定)
<参加費>
・プログラム費:11,500円
 ※減額の可能性があります。
 【内訳】・SUWAガラスの里 使用料:500円
     ・昼食代:1200円(400円×3)
     ・移動車:2000円
     ・宿泊費:4000円
     ・懇親会費等:3800円
・Day2,Day3の夕食は自己負担となります。
・上記以外(現地までの交通費など)の費用は、参加者自己負担となります。

スケジュール(予定)
DAY1:諏訪やガラスの魅力に触れる

・現地ツアー①(SUWAガラスの里にてガラスの魅力や工房を見学)
・体験ワークショップ(リヒート実験 / 窓サッシの解体)
・交流会(長野・諏訪エリアで地域資源に関わるプレイヤーの参加を予定)
DAY2:ガラスの課題を知り、未来を想像する
・現地ツアー②(林金属工業;一般廃棄物処理)
・グループワーク①(ガラスの活用を考えるアイディエーション)
・実験ワークショップ(グループワークのアイデアを基にリヒート実験)
・温泉交流
DAY3:ガラスの未来を考える仲間と繋がる(ワークショップに向けて)
・グループワーク②(実験考察を基にアイデアをブラッシュアップ)
・グループワーク③(プレゼンテーションの準備)
・最終報告会(アイデアを発表)
・懇親会

※「事前合宿in諏訪」の詳細内容は、さらにアップデート予定です。

<注意点>

  • 集合場所となる「JR 中央本線 上諏訪駅」への往路、解散後の復路の交通手段(新幹線、レンタカー、自家用車等)は、基本的にはご自身で手配いただきます。首都圏からの交通手段について個別相談にて対応する準備中です。
  • 現地での移動は、こちらで手配する車での移動を予定しております。ただし、参加人数次第で変更となる場合がありますので、ご了承ください。
  • 宿泊については、ReLinkで手配する予定です。
  • ②事前合宿の工程は2泊3日となりますが、その後の滞在のご希望がある場合は、人や場所のご紹介などの支援をいたします。
  • 上記記載の予定は予告なく変更になることがございますので、ご了承ください。

【対象・応募資格】

  • 諏訪やガラスに関心を持ち、自身の仕事や活動のタネを見つけ、アクションに繋げる意識を持って参加いただける方
  • ①プレレクチャー ②事前合宿 ③ワークショップ、を一連のプログラムの全てに何らかの形で参加いただける方(個別事由は応相談)
  • 満18才以上の方(未成年者は保護者が参加者となり、同伴する形での参加となります。個別にご相談ください)

【プログラムの流れ】

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ご参加希望の方は、下記の「エントリーフォーム」よりエントリー!
  フォーム締め切り:①プレレクチャー 2/16(火)、②事前合宿 in 諏訪
  
エントリーフォーム送信後1営業日以内に事務局から返信いたします。

ガラスアップサイクルワークショップ エントリー!forms.gle

  • 事前説明会やスタッフとの面談など、事前にツアー内容について理解を深めていただく機会を経て、合意の上で本申し込みに進んでいただきます。
  • エントリー前にご質問等がある場合は、お問い合わせください。
  • メールアドレス:eeta1117@gmail.com

ガラスアップサイクルワークショップin諏訪 とは?

ReLinkとAGCが連携し、2025年2月から7月にかけて、全国のクリエイターやビジネスパーソンを目指す学生を対象に、長野県諏訪市を中心とした自然や文化、人との出会い、新しい資源循環事業やプロジェクトを生み出すことを目的としたツアー&ワークショップイベントです。

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諏訪湖

ガラスが抱える課題とは?

 私たちの暮らしの中には、窓や食器、照明、ビルの正面デザインなど、さまざまな形でガラスが存在しています。透明で美しく、丈夫でありながら加工の自由度も高い。そんなガラスは、実は「砂」から作られていることをご存じでしょうか。ガラスは、砂に調合した原料を混ぜ、高温の炉で溶かすことでつくられています。しかし、一度ガラスとして生まれたものは、再び砂へと戻ることはありません。そのため、私たちの生活を支える土壌を守っていくためには、人間社会の中で使い回していくことがとても大切です。
 ですが、解体される建物の窓ガラスは、運びやすくするために叩き割られるなどして他の素材と混ぜられてしまうことも多く、ほとんどリサイクルされていません。リサイクルしても、不純物が入ったことで、色が付いてしまうなど、新しい製品の原料にすることが難しいです。そのため、多くのガラスは埋め立てといった処分方法を余儀なくされています。さらに、近年では地方の溶解炉の減少も進んでおり、ガラスのリサイクルを行うことができる施設の数が限られています。こうした状況の中で、ガラスは「美しくも、使い捨てられる存在」になってしまっているのです。このままでいいのでしょうか? もしも、ガラスの役割や価値を見直し、新しい形で生かすことができたなら——。廃棄物ではなく、次の世代へと受け継がれる「素材」としての可能性を、もう一度考えてみませんか?

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諏訪湖の砂で作ったガラス。美しく黒い輝きを放つ。

ガラスの素材メーカーAGCが始めた新しい挑戦

 こうしたガラスの課題に対し、ガラスメーカーのAGCは新たな視点で解決策を模索しています。たとえば、「色のついたガラスは使い道が限られる」というこれまでの常識を覆し、その個性を生かしたデザインの可能性を追求しています。
 AGCが、ガラス芸術家、村山耕二氏とのコラボレーションによって行った「素材のテロワール」は、砂の中に含まれる成分の違いによってガラスの色が変わる特性を活かし、地域ごとの砂から、土地が持つ記憶を素材に込めるプロジェクトです。色があるからこそ生まれる独特の表情、光の反射による深みのある美しさ——それらを欠点ではなく、新しい価値として引き出す取り組みです。
 また、板ガラスの回収にも積極的に取り組み、不要になったガラスを板ガラスとして回収し、新しい製品へと循環させる仕組みの構築にも挑戦しています。板ガラスは、そのまま再利用することもできれば、不純物が入ることなくリサイクルすることもできます。この選択肢をもつ状態こそが資源としての価値でもあります。単なる「リサイクル」を超えて、ガラスの可能性を広げ、持続可能な未来へとつなげる挑戦を続けています。

<関連記事>AGCのこれまでの取り組み!

諏訪から始まる、ガラスが地域で循環する未来。AGCが目指す、風土に根差したサーキュラーデザイン | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン | IDEAS FOR GOOD日常に欠かせない素材であるにもかかわらず、実はリサイクル率が低いガラスという素材。AGCは、地域でガラスの循環を目指すプロideasforgood.jp

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ReLinkの考える未来像

新しいコラボレーション ReLinkとは?

 私たちReLinkもまた、建築分野において新たな循環の仕組みをデザインしています。ReLinkの名前は、「Re(リユース)×Link(つなげる)→社会をつくる」という意味を込めてつけられました。「建物そのものを資材の貯蔵庫として捉える」という考え方に基づき、建物の部材をカタチある資源として新たな価値へ繋げる取り組みをしています。これまでの建築は、建てて、使って、壊してしまうのが当たり前でした。しかし、もしも建物に使われるガラスや木材、金属などの資材を「未来の資源」として考えられたなら? 解体された後も、また別の建物へと受け継がれていく仕組みがあったなら?
 この考え方は「Building as Material Banks(BAMB)」と呼ばれ、建築を「資材の貯蔵庫」として機能させるものです。建材をただの消費財としてではなく、循環させる資源として管理し、部材の再利用によって新たな価値を生み出すことで、持続可能な未来をつくることができます。

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マンションの解体材をリユースして制作したテーブル
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材料を回収した解体現場

 ReLinkでは、この視点を生かし、ガラスを含む建築資材が新たな価値を持ち続ける仕組みのデザインに挑戦しています。全国にあるリユースの取り組みと資源の利用者を繋げることから始まった私たちの活動ですが、現在は、建築を専門とする私たちの強みである「空間」価値のデザインや、循環を繋げるワークショップの企画も行っています。捨てられるはずだった素材が、新たなプロジェクトの中で生かされる。その流れを生み出すことこそが、私たちの目指す未来です。

 ガラスは、本来一度きりのものではありません。誰かの手を離れても、また次の誰かに受け継がれ、新たな物語を紡いでいくことができる素材です。あなたなら、この透明な素材にどんな未来を描きますか?
 このワークショップでは、ガラスという素材と向き合い、その可能性を一緒に探っていきます。見方を少し変えるだけで、今まで「捨てるしかない」と思っていたものが、新しい価値を持つことに気づけるかもしれません。あなたの視点とアイデアが、この循環の未来をつくる一歩になります。

まずは、自分の活動のタネが見つけられるかもしれない!
そんな気持ちでエントリーください!

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