物質性を語る~モノがもつ気持ち悪さ~⑤

マガジン

みなさん、こんにちは。渡会です。

今週もつらつら書いていきます。今回でスポリア考察は最終回となります。

03.スポリアの面白さ

まず結論から。

①奪い取る側・取られる側、双方の主体に何らかの対立や異質さ、二項対立的な側面が存在する。そして、奪うことによって相手側の性質を帯びるがゆえに、組み合わせることで何らかの意味が加わる。

②奪うモノを奪われる場所に持ってくるときに一見同じモノでも意味が変わることがある。

二つの例(凱旋門とトランスヴィレ聖堂)から、この点が興味深いところだなと個人的には思います。そもそも奪って、自分のものにして建物に組みこんじゃおうってこと自体面白い。資材として持ってくる例が数多くある中、「あいつの所の柱取ってきて自分の建物につかっちゃお」こんなことがあった当時の権力とか、そう思わせるモノの魅力ってなんか良いですよね。

話を戻して、、、

あるモノが元々属していた文脈から奪われ、他の文脈に組み込まれる。その時、モノのカタチは変化しないんだけど属する文脈が異なってくるからこそ、意味が変容したりする。(そう体験者が捉えたり。)もとの文脈があるから成り立っていたモノの意味が、他のところに移されたときになんか気持ちわるい、不気味って人に感じさせる力が「スポリア」にはあるんだと思います。

これらの考えは元の文脈があり比較論が組み立てられる場合において起こる面白さだと言えます。

これを設計手法として使えないかと考えたのが2年前行った僕の卒業設計になるわけですが、今現在もこれからも、モノにある魅力をどう設計で解き明かしていくのかについては考えていきます。

資材性、意味性どちらのスポリアにおいても、元の文脈との関わり方とそこにモノのカタチ、人の思いがどうかかわってくるかが大事です。そして現代においての「奪う」ことについてはまた考えてみたいです。

渡会裕己/ReLink

タイトルとURLをコピーしました